割った余り

主に統計学の勉強メモ

2019年統計検定1級応用(理工学)問2答案

誤りのご指摘などコメント大歓迎

小問[1]

  • 図1の \overline{X} の管理図より、処理バッチ内変動(標準偏差 \hat{\sigma}_{W})を推定せよ。

 \overline{X} 標準偏差はサンプルサイズの平方根に反比例するので、

 \overline{X}  UCL  = \overline{\overline{X}} + \frac{\hat{\sigma}_{W}}{\sqrt{4}} \times 3

と表せる。よって、

 \hat{\sigma}_{W} = (10.1014 - 10.0653) \times \frac{\sqrt{4}}{3} \sim 0.0241

と推定できる。

小問[2]

  • 熱処理バッチ間変動(群間変動 \hat{\sigma}_{B} )を標準偏差で求めよ。

[1]の結果も用いて、


\hat{\sigma}_{B} = \sqrt{\hat{\sigma}_{B}^{2}} = \sqrt{\hat{\sigma}_{Total}^{2} - \hat{\sigma}_{W}^{2}} \sim \sqrt{(0.048)^2 - (0.0241)^2} \sim 0.0415

と推定できる。

小問[3]

  • 現状を維持したいと判断し、 3シグマルールによって管理するとき、 \overline{X} - R 管理図に対する対応策を考えよ。

ふむ…では同じ鋼材ロットごとに \overline{X} - R 管理図を作ってそれぞれの場合を管理するのはどうだろう。

小問[4]

  •  C 管理図の UCL を求めよ。

 CL の平均値は 1.62 であり、ポアソン分布の平均と分散は等しいので、

 C 管理図の UCL = 1.62 + 3 \times \sqrt{1.62} \sim 5.438

である。

小問[5]

  • 現状を維持したいと判断し、 3シグマルールによって管理するとき、 C 管理図を活用するための対応策を考えよ。

ポアソン分布を仮定した場合は 3シグマルールで大半の測定値をカバーできていない可能性がある。実際 \sigma^{2} = 1.62とすると、

 \displaystyle
P(X \leq CL + 3\sigma) = \sum_{x = 0}^{[1.62 + 3 \times \sqrt{1.62}]} \frac{(1.62)^{x}}{x !} e^{-1.62}

の値が正規分布とは違い99%を大きく下回っているかもしれない。*1
その場合の対応策としてはポアソン分布に従う確率変数 X において


P(X \leq (UCL)^{\prime}) \sim 99\%

を満たす (UCL)^{\prime} を管理境界線にする策が考えられる。

*1:実際はおよそ 99.4\% であるので予想は外れている・・・