現代数理統計学(竹村彰通 創文社 p34 問3 解答)
問)
次のモーメントが存在すればとなるについて
次のモーメントは存在することを示せ。
解答)
下記の不等式
...(0)
が任意のに対して成り立つと仮定する。
が離散確率変数の場合、の確率関数を(0)式の両辺に掛けた場合、
常にが成り立つので
...(1)
が成り立つ。同様に
...(2)
も成り立つ。
が連続確率変数の場合、の確率密度関数を(0)式の両辺に掛けた場合、
常にが成り立つので
...(3)
が成り立つ。同様に
...(4)
も成り立つ。
以上から(0)式が任意のに対して成り立てば、
...(5)
が成り立つ。
また、この問の仮定より次モーメントが存在するので
...(6)
が成り立つ。したがって、(5)式と(6)式により
...(7)
が成り立つ。(7)式は次の絶対モーメントが存在することと同値である。
次の絶対モーメントが存在するとき、
についての積分(和)区間との積分(和)区間に分けてそれぞれ
、 、と表すと
、 、
であるので、である。
よって、次絶対モーメントが存在すれば次モーメントが存在する。
以上より、(0)式が任意のに対して成り立つことを示せば、次のモーメントが存在すること
を示したことになる。
以下、(0)式が成り立つことを示す。
とはモーメントのべき指数であるので自然数であることに注意して、次の3通りの場合を確認する。
- (ⅰ) のとき
- (ⅱ) のとき
- (ⅲ) のとき
(ⅰ) のとき
より(0)式が成り立つ。
(ⅱ) のとき
であるので、
...(0)
が成り立つ。
(ⅲ) のとき
であるので、
...(0)
が成り立つ。
以上より(0)式は常に成り立つので、次のモーメントは存在する。
以上